①感覚、②感情、③思考
脳の構造は三層になっていると言われています。
内側から、
①脳幹(爬虫類脳)
②大脳辺縁系(旧哺乳類脳)
③大脳新皮質(人間脳)
①は感覚、②は感情、③は思考に対応しています。
ここからは私(吉田)の仮説です。
まず、外側の脳である③は、アウターマッスル(表層筋)=大きな筋肉で力が入りやすい(=力みやすい)
②は、インナーマッスル(深層筋)=身体の深部にある小さい筋肉(=連動しやすい)
に、それぞれ対応していると考えられます。
さらに、幹の部分である①は、エネルギーや力の流れ道=経絡に対応していると考えていま
思考を使うと③が発動して、大きな筋肉・部分的・力みやすくなります。
自分自身が部分的なので、他者とも分離が起きやすくなります。
一方、①や②を使うと、連動する・余分な緊張が入りにくい。
人の話を聞く時も、感情や体験したことはすごく伝わってきますよね。
これは経営でも応用されていて、ゴールデンサークルという理論がありますが、
①脳幹 は、WHY(なぜ?)
②大脳辺縁系 は、HOW(どのように?)
③大脳新皮質 は、WHAT(何?)
に、それぞれ対応しています。
①WHY(なぜ?)は、志や目的という言葉にも置き換えられますね。
武学では、10人一列に並んでもらって、志を唱え、禮をして力を通すというワークがあります。
1対10でも力が通るのは、①②のエネルギーの通り道やインナーマッスルを発動させて、力みの原因であるアウターマッスルを使っていないからともいえます。
ただ③思考が悪いということではなく、進化の①⇒②⇒③の順に使うことが、本来の能力を発揮する第一歩ということです。
①感覚、②感情、③思考の全体像
①感覚・身体は、たとえて言うならば「車体」です。
車種は大きく分けると10種類あります。(体璧)※タイヘキにリンク
人生の目的地(志)に向かうために、どんな車種を選んできたのか?
(生まれる前に、志と何に乗るかは決めてきていると思います)
車種は、長距離向き、小回りがきく、馬力があるなど、特性があります。
②感情は、「エンジン」です。
嬉しい、楽しい、辛い、悲しい、悔しいなどの感情が、行動の原動力になります。
志(心が指す方向)へナビゲートする働きもあります。
③思考は、「運転するドライバー」です。
ここでドライバーの特性が現れます。
ドライバーが自分勝手に車(①身体)の特性を無視して運転すると、事故を起こしてしまいます。
つまり、人生で迷子になったり、身体の故障を起こしてしまいます。
①(感覚・身体)まずは車の特性を知り、
②(感情)エンジンをかけて目的地に向かい
③(思考)ドライバーが車の特性を理解してうまく運転をする
という①⇒②⇒③の流れによって、人生をうまくコントロール(運転)できると言えます。
②感情について
あの人なんか嫌い!という③思考からくる②感情は、共感を得られず、聞いた人を不快にさせることもあります。
しかし、
自分が辛い経験をしてきて、そういう人を二度とつくりたくない!という①感覚(経験)からくる②感情は、人に伝わります。
②感情は、①か③か、どちらから来ているかで、まったく別物になってくるんですね。
スポーツの世界では、選手生命の中でもほんの数回、自分でも信じられないくらい圧倒的なパフォーマンスを発揮した時に、「ゾーンに入る」ということがあります。
(無我の境地と表現する方もおられます。)
ゾーンとは、集中力が極限まで高まって、他の志向や感情、周囲の風景や音などが意識から消えて、感覚が研ぎ澄まされ、全体を俯瞰しているような状態です。
言い方を変えると、
本来の①感覚⇒②感情⇒③思考の順番になることによって、先に身体が全体を捉えて判断して動き、思考が客観的に物事を見ている状態と言えます。
ところがここにも落とし穴があります。
たとえば、過去にゾーンに入る経験をした人が、プレー中にゾーンに入ろうと意識すると、うまくいきません。
なぜなら、「意識する」は③思考が入り口になるので、②①にブロックがかかってしまうからです。
筋肉も力みやすく、連動しにくくなります。
③思考からスタートするとブロックがかかって、持っている能力を発揮できませんが、①⇒②⇒③の順でアプローチを行えば、誰でも本来の能力を発揮するチャンスがあるということです。
それこそが、外から付け加えるのではなく、自分の持っている能力を引き出すということにつながってきます!
どうすれば①⇒②⇒③の順で使えるか
ここまで書いてきたことは、情報をお伝えしているだけ(③へのアプローチ)なので、難しそうと感じた方もおられるかもしれません。
が、実は子供の頃は、誰でも皆①⇒②⇒③だったんですよね。
そして大人になり、あらゆる経験をして、③からスタートしたらうまくいかなかったという、いわば対極を知って、
また本来の状態に戻って能力を活かしていくというプロセスだと思っています。
人は、「片方だけ」では認識できません。
○○メソッドをお伝えしていると、「もっと早く知りたかった」「子供の時からこういうことができたらいいよね」という話をよく聞きます。
ただ、うまくいかないを経験しているからこそ、それを認識して使いこなせるようになるのが、人というものです。
元々備わっている能力を発揮するための2つのアプローチ
①感覚⇒②感情⇒③思考の順番で、もともと備わっている能力を発揮するためには、2つのアプローチ方法があります。
1.③思考を休ませる方法
2.①感覚(身体)にダイレクトにアプローチする方法
思考を休ませる方法
①感覚、②感情、③思考の中で、現代人はあまりにも思考が過剰になっています。
③思考を休ませて、残りの①、②とのバランスを取るというアプローチを行います。
意識する=まだ起こっていないことに氣をつける
認識する=今、既に起こっていることに氣がつく
たとえば、雑巾がけ。
雑巾がけをするだけでも、身体が連動して、余分な力が抜けてパフォーマンスがアップします。
最初は雑巾を持っている手のひらだけの動きからスタートしますが、その動きを客観的に観察していくと、手首、肘、肩と連動していくことが認識できます。
これを「意識して」やると、今の状態から変化することなく反復動作が続き、余分な力が入り始めて、思考が過剰になっていきます。
「認識する」にシフトチェンジすると、どんどん変化が加速していきます。
この「認識する」精度を高めていけば、何をしていても身体の使い方のレベルが上がっていくことが可能になります。
武学や武術では、日常が稽古の場と言います。
認識するというアプローチを取り入れることによって、日常で行っている動きそのものが自然になり、心身が整って、エネルギーが通りやすくなります。
日常を稽古の場とするには、稽古を習慣化するのも一つのアプローチです。
また、既に習慣化しているものに、ニュートラルになるアプローチを加えるのも一つの手です。
意識と認識の違い
意識する=まだ起こっていないことに氣をつける
認識する=今、既に起こっていることに氣がつく
たとえばカーナビを使う時の前提条件として、現在地がわかっていないといけません。
現在地を知る=「認識する(①感覚)」です。
それがあって初めて目的地の設定「意識する(③身体)」、そして道筋が導き出されます。
この順が逆になると、行きたいところは決まっているのに、現在地がわかっていないので、迷子になってしまいます。
感覚(身体)にダイレクトにアプローチする方法
身体に隠れている「DNAスイッチ」の場所に軽くエネルギーの方向性を与えます。
それだけで簡単に身体に変化が起きます。
面白いのは、「思考が理解していないのに身体が先に変化している」こと、そして「あとから思考が理解する」という、①感覚(身体)⇒②感情⇒③思考の順番通りの変化が起きているということです。
こういったスイッチは法則性に従って身体のあらゆるところにあり、誰でも簡単にその場で変化を起こすことができます。